— メディアアート
光の余白について — 新作インスタレーション《Halation》制作ノート
暗室のなかで、わずかに滲む輪郭だけが画面に残る。そういう状態を、ずっと作りたかった。
新作《Halation》は、来月の個展に向けて準備しているリアルタイム映像インスタレーションだ。タイトルは写真の現像用語から取った。強い光源のまわりに発生する、本来そこにはなかったはずの「光のにじみ」。あの過剰さに、ずいぶん前から惹かれている。
技術的には TouchDesigner と GLSL シェーダーの組み合わせで動いている。中央に置かれた小さな光源(実体としては LED 一灯)が、二台のカメラに同時に撮影される。撮影された映像はリアルタイムでフィードバックループにかけられ、最初に映ったはずの光の輪郭が、世代を重ねるごとに膨張し、滲み、別のかたちへと変質していく。
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面白いのは、観客が部屋に入ってきたときに起こる変化だ。人体は、光源にとってのノイズである。観客が動くと、ループはわずかに崩れる。崩れたまま、また別の安定へ向かう。観客が立ち止まれば、画面はじりじりと整っていく。整いきる直前で、また誰かが入ってくる。
完成、というものはたぶんない作品で、設置と撤収のあいだ、ずっと自分で自分を作りなおしている。それが見たかったのだと、最近になって気がついた。
— 終わり —